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<ナレッジ>Vol.15 資本的支出と修繕費について

2019/07/09

1. 資本的支出と修繕費の定義について

会計上、所有している固定資産について支出があった場合のその支出の定義及び会計処理は、次の二つに区別されています。

 

(1)資本的支出

その有形固定資産の価値の増加又は耐用年数の延長をもたらす支出をいい、会計処理は、

その有形固定資産の取得原価に加算します。

 

(2)修繕費

その有形固定資産を現状のまま維持するための支出をいい、会計処理は、修繕費とします。
 
 
2. 法人税法における資本的支出と修繕費

(1)資本的支出

修理、改良その他のいずれの名義をもってするかは問わず、固定資産について支出する

金額で以下に該当するものについては、資本的支出とします(法人税法施行令132条)。

①支出する金額のうち、その支出によって、当該資産の取得時において当該資産につい

て通常の管理又は修理をするものとした場合に予測される当該資産の使用可能期間を延長

させる部分に対応する金額。算式にすると以下の通りになります。

 

資本的支出の額

=資本的支出

×(支出後の使用可能期間-支出しなかった場合の残存使用可能期間)/支出後の使用可能期間

 

②支出する金額のうち、その支出によって、当該資産の取得時において当該資産につき

通常の管理又は修理をするものとした場合に予測される当該資産の価額を増加させる部分

に対応する金額。算式にすると以下の通りになります。

 

資本的支出の額=支出直後の価額×通常の管理又は修理をするものとした場合に予測される

その支出の時における価額

 

(2)修繕費

修理、改良その他いずれの名義をもってするかは問わず、固定資産について支出する金額

で、その固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められる部分の金額は修繕費と

します。

 
3.形式基準について

会計上の資本的支出・収益的支出の概念及び法人税法上の資本的支出・修繕費について規定は存在するが、ある固定資産について支出した金額が、資本的支出に該当するのか、それとも修繕費に該当するのかを判断することは実務上非常に困難であるため、次のいずれかにより修繕費であるかどうかの判断を行うことが認められています。(法基通7-8-4)

 

(1)1件当たりの修理等に要した金額が60万円に満たない

(2)1件当たりの修理等のために要した金額が、修理等の対象となった固定資産の前期末におけ

る取得価額のおおむね10%相当額以下

 

ただし高額な工事や複雑な工事等は、実務において工事見積からひとつずつ内容を検討し判断することになります。

工事見積を検討する際は、見積がいくつかの区分にまたがって記載されている場合、どの程度まで工事を細分化し判定するかということも問題になりますが、その際は以下の目的により判断、区分することが合理的と考えられます。

 

(1)適切な耐用年数による償却費の計算のため。

(2)償却資産税の対象となる資産、対象とならない資産を区分するため。

(3)後々交換工事を行った場合に交換資産を特定し、、除却できる程度まで区分するため。

 

また、会計上修繕費として処理するが、税法上損金算入できない場合は、会計上修繕費に計上した金額を税務申告上加算調整することが必要となり、当該金額分、所得金額が増加することになります。

 

4. SPC等の場合

SPCの場合、会計上の利益と税法上の所得の乖離は、組合であれば、組合員の申告上、加算・減算調整等の事務手続きの増加につながり、TMK及び投資法人であれば、税法上の特典である配当の損金算入要件を満たさない場合もあるため、極力、会計と税務の処理を一致させるよう処理を行うことが肝心です。

 
ご不明な点、疑問点等ございましたら当社までお問い合わせください。
 

以上

【お問合わせ先】税理士法人 令和会計社 / 令和アカウンティング・ホールディングス株式会社
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