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<ナレッジ>Vol.15 記述情報の開示に関する原則等について

2019/07/09

1. はじめに

金融庁は2019年3月19日に「記述情報の開示に関する原則」(以下、「開示原則」)を策定するとともに、「記述情報の開示の好事例集」(以下、「好事例集」)を公表しました。

「開示原則」及び「好事例集」は、ルールへの形式的な対応にとどまらない開示の充実に向けた企業の取り組みを促し、開示の充実を図る事を目的としており、開示の充実を図る上では、開示に関するルールとしての「開示原則」の整備に加え、適切な開示の実務の積み上げを図る取り組みも必要と考えられる事から「好事例集」も併せて公表しています。

(補足):記述情報とは、一般に、法定開示書類において提供される情報のうち金融商品取引法第193条の2が規定する「財務計算に関する書類」において提供される財務情報以外の情報を指すとされています。

 
2. 概要

「開示原則」は下記の項目となっております。

Ⅰ.総論

1.企業情報の開示における記述情報の役割

2.記述情報の開示に共通する事項

2-1.取締役会や経営会議の議論の適切な反映

2-2.重要な情報の開示

2-3.セグメントごとの情報の開示

2-4.分かりやすい開示

 

Ⅱ.各論

1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

1-1.経営方針・経営戦略等

1-2.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

1-3.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2.事業等のリスク

3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(Management Discussion and Analysis、いわゆる MD&A)

3-1.MD&A に共通する事項

3-2.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

3-3.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 
3. 主な内容

記述情報の充実により、財務情報を補完し投資家による適切な判断を可能にする事や投資家と企業との建設的な会話を促進し、企業の経営の質を高める事が期待されており、記述情報の開示は企業の立場から持続的に企業価値を向上させる観点からも重要と考えられ、企業は、記述情報等に関してより充実した開示を行う事が期待されています。

今回注目しました内容として、有価証券報告書における経営方針・経営戦略等、経営成績等の分析、リスク情報は経営判断等の記述情報について、経営に係る決定が行われる取締役会や経営会議(以下、取締役会等)における議論を適切に反映する事が重要である旨の記載がなされています。投資家は取締役会等における議論を反映した開示によって企業の現況の認識や、企業の経営方針・経営戦略等の内容の理解に必要な情報を得ることが可能となり、財務情報だけでは判別できない経営の方向性を理解する事で、将来の経営成績等の予想の確度をより高める事が可能となるとされています。また、記述情報に取締役会等の議論を反映するために、経営者は開示書類作成の早期から、開示内容の検討に積極的に関与し、開示についての方針を社内に示す事が期待されています。

 
4. 適用時期等

経営方針、経営環境及び対処すべき議題等、経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、事業等のリスクについての改正後の規定は、2020年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書から適用されます。ただし、2019年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書から改正後の規定に沿った記載をすることも可能とされています。

 
5. 最後に

「開示原則」は開示情報を新たに加えるものではありませんが、取締役会等の議論を適切に反映する事や経営者の積極的な関与が求められている事を考慮すると記述情報の開示に関して、記載内容自体や記載内容の決定プロセス等も含めて再検討を行う必要が生じる事も考えられます。

 
今回の内容に関するご質問等御座いましたら、当グループまで是非お問い合わせください。

以上

【お問合わせ先】税理士法人 令和会計社 / 令和アカウンティング・ホールディングス株式会社
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