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<ナレッジ>Vol.19 インボイス制度導入について

2020/02/19

1.はじめに
 インボイス制度は消費税において複数税率を用いる欧州諸国で広く採用され、仕入税額控除を適正に行うことを目的としています。日本においても令和元年10月1日から軽減税率を適用する複数税率制度が導入されたことにより、4年後の令和5年10月1日には「適格請求書等保存方式」として適用が開始されます。
この「適格請求書等保存方式」の下では、法定事項が記載された「帳簿」の保存及び税務署長に申請して登録を受けた課税事業者である「適格請求書発行事業者」が交付する「適格請求書」等の保存が、仕入税額控除の適用を受ける為の要件となります。以下は、この要件の概要と制度が導入されるまでの期間に留意すべき点について紹介していきます。

2.適格請求書等保存方式の概要
①適格請求書発行事業者の登録申請
課税事業者が適格請求書発行事業者となるには、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」(以下「登録申請書」と言います。)を提出し、登録を受ける必要があります。登録申請書は令和3年10月1日から提出可能となり、提出後は税務署による審査から登録簿への登載やインターネットを通じての公表までに一定の時間がかかります。適格請求書等保存方式が導入される令和5年10月1日から登録を受けるためには、原則として6ヵ月前の令和5年3月31日までに登録申請書を提出するなど、早めの対応が必要となります。

②適格請求書の記載事項
令和元年10月1日から導入された「区分記載請求書等保存方式」では、それまでの「請求書等保存方式」に加えて、軽減税率対象の課税資産の譲渡等に係るものである旨の記載、及び、税率毎に合計した対価の額(税込)の記載を追加した請求書等及び帳簿の保存が要件とされました。
これに加えて、令和5年10月以降の「適格請求書等保存方式」では適格請求書発行事業者としての登録番号(T+13桁)と、税率毎の消費税額及び適用税率の記載(税率毎に合計した対価の額は税抜又は税込どちらかの記載)が必要となります。また、消費税等の端数処理は一の適格請求書につき、税率ごとに1回ずつと決められ、商品ごとに消費税額を計算して1円未満の端数処理を行い、その合計額を消費税額等とすることはできません。

③適格請求書発行事業者の義務
「適格請求書発行事業者」として登録された事業者には、適格請求書を交付することが困難な一定の場合を除き、取引の相手方(課税事業者に限る。)の求めに応じて、書面又は電磁的記録による適格請求書を交付する義務と、交付した適格請求書の写しを保存する義務が課せられます。
また、適格請求書発行事業者が偽りの記載をした適格請求書を交付した場合、適格請求書発行事業者以外の者が、適格請求書発行事業者が作成した証憑であると誤認させるおそれのある書類を交付した場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金などの罰則が設けられています。

④適格請求書の交付義務の免除
適格請求書を発行することが困難な以下の取引は適格請求書の交付義務が免除されます。
・3万円未満の公共交通機関による旅客運送
・出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡
・生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の譲渡
・3万円未満の自動販売機等により行われる課税資産の譲渡等
・郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る。)

3.免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置
適格請求書等保存方式導入後、買い手側が課税事業者、売り手側が免税事業者である場合の仕入税額控除の扱いについて確認します。この場合、免税事業者は適格請求書等の交付ができないことから、原則として買い手側では仕入税額控除ができません。ただし、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等を保存し、帳簿にこの経過措置の適用を受ける旨が記載されている場合には、下記の期間は仕入税額相当額の一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています。
 

期間 割合
令和5年10月1日~令和8年9月30日まで 仕入税額相当額の80%
令和8年10月1日~令和11年9月30日まで 仕入税額相当額の50%

4.さいごに
インボイス制度は、長年に渡り消費税制度が抱えている益税問題を解決させるために導入されます。しかし、適格請求書を発行するためのシステムの変更や、軽減税率対象・対象外品目の区分管理、適格請求書の発行者・受領者共にその保管は原則7年間におよび、保管場所の確保や保管期間終了後の破棄の手間や費用など、事業者の負担は増えるばかりです。また、買い手側は課税事業者から仕入れた方が有利となりますので、課税売上高1,000万円以下の小規模事業者にとっては課税事業者を選択するか否かの選択を迫られる厳しい制度でもあります。インボイス制度導入までのこれからの4年間は、各事業者がそれぞれの事業戦略を考え直す期間となりそうです。

以上が簡単な概要となります。実務上の不明事項や疑問等がございましたら、当グループまでお問合わせください。

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